活動報告:地下水浄化・被災地の復興・有効活用としての陸上養殖の提案


≪水の浄化と有効利用~除塩と海水の淡水化≫

農地・農業用水の浄化としては、以前からご紹介しているシステムが、公的機関に先立ってテストを終了し、2012年2月から除塩の実稼働を始めました。
RO(逆浸透膜)による地下水の塩分除去については、農研機構HPにも『逆浸透膜装置による地下水の除塩技術』として掲載されています。また日本農業新聞(H23.12.9)『地下水塩害改善へ 小型浄化装置に期待 ~ 宮城県、来年から普及』として(EC3.6→0.25)紹介されています。

しかし、RO単独利用ではフィルターの目詰まり等の心配があり現実的には困難です。特に宮城県は古くから鉄の産地として知られ、温泉地も多いことから地下水利用には前処理が必要とされている地域だからです。
本方式は、この対策をしたうえで実用化したものです。

テストを行った宮城県I市では、鉄分3~10ppm程度の地域が多く、鉄分10を超える地域もいくつもあります。RO単独でテストした際には実用化が難しいということで、当社のシステムのテストをおこないました。

テスト結果(Fe7ppmの地下水)

Naイオン 36ppm   →   0ppm

という結果となり、導入となりました。

農業用水の除鉄・除マンガンを実現する“除鉄装置 カスタム”

農業用地下水の浄化のため、除鉄・除マンガン装置としての単独利用も行われています。

地下水を地上に貯めてからの浄化はダメ!

地下水の浄化実績がないところでは、『一度、貯水タンクにためてから処理装置に送る』方法を取っているところもあるようですが、貯水タンクにためることで

・鉄を酸化させて除鉄しにくくする。

という結果になります。今までは、テストでは除鉄ができていたものが、実稼働になると『2回目からは除鉄できなくなってしまう』などの問題がありました。
そのため、実際には除鉄ができていなかったわけですが、カスタムの利用により、農業用水の確実な除鉄が実現しました。

津波被災地には、被災前と比べて水質が変わっているところが多く、塩分以外にもその特徴として

総硬度の増加

が見られます。(I市ではマンガン3.8ppm 総硬度1300ppm)
これを確実に処理する方法がカスタムの利用という結論が出たわけです。


一方で、被災地の復興・有効活用としては陸上養殖での対応を提案しています。


海水・農地の除染方法

①??? 凝集剤の利用(物理的・化学的除去)

海水の除染として天然の石を粉末にした安全な凝集剤を使用して、池の水や海水を除染・浄化します。セシウムは、+イオンですので、イオンを利用した凝集剤で吸着できるはずです。これはすでにテストに成功し、データを取っています。

②??? フルボ酸鉄の利用その1(”土の力”を強化)

セシウムはカリが多く含まれた土壌では少なくなっていることが分かっています。そこで、カリを多く含んだフルボ酸鉄を使えば、農地の改善も出来るでしょう。

実際に『CEC(保肥力)が高ければ、塩害も改善・軽減される』との農学者のコメントもあります。


③??フルボ酸鉄の利用その2(微生物等による分解)

? もしかすると残ったセシウムはカリと間違って光合成細菌等に捕食させることが可能かもしれません。

当HP掲載のフルボ酸鉄には、光合成細菌やキトサン酵素が多く含まれています。キトサンにはNaClを分解する機能もあるようで、また、セシウムの吸着も報告されておりますので、期待しております。


このような形で除染をして農地を復元するのも一つの方法ですが、様々な理由で同じ場所で農業を続けられない場合・地域もあるはずです。そうした地域・場所では、農業から陸上養殖への転換もひとつの考え方ではないでしょうか。

水産学者の中には、『農業用地を再生するよりも陸上養殖へ転用した方が復興のスピードが速まり、対費用効果は高い』というような考えを持っている方もいるようです。

2.陸上養殖での海水利用

陸上養殖では、海水を

除鉄・浄化→消毒→ミネラル添加→酸素注入

という手順で浄化して利用します。農業用では除塩が必要ですが、陸上養殖では除塩が必要ありません。

また、海底はものすごく変化・被害が大きいようですが、上面の方は比較的変化が少ないとのことです。したがって、上の層から取水して1の方法で浄化するなら比較的安全ではないでしょうか。

広い海全部を人工的に浄化することは難しい訳ですが、ポンプで吸い上げた分だけを浄化する事は可能です。海から吸い上げた海水を海に排出しないようにすれば、それほど浄化費用がかかりませんので、今、陸上閉鎖系循環型養殖を進める事がベターではないかと考え、ご提案しています。


フルボ酸鉄光反応型

まだ大量には作っていませんが、大量生産体制も整いつつあります。テスト用は十分に用意しておりますので、もしテストを希望される方がおりましたらご連絡ください。