農漁村のソーラー発電

①エネルギーと減反政策と農家発電事業―ドイツは農家に特別優遇

ドイツの例ですが、再生可能エネルギーを活かした「農家発電所」が増えているそうです。

丁寧な言い方をすると、農家の事を「土地の主」と言うそうですが、バイオマスや風力・太陽を利用した自然エネルギー発電事業を行う農家の事を「エネルギーの主」と言い、損をしない様に政府が買い取り保証をしているそうです。そのため、銀行にとって最も安定した事業・融資先として、農家に貸し付けをします。

日本でいえば、差し詰め大企業が共同出資したトップクラスの風力発電事業者が発電する、年間100万キロワット級の発電事業と同じでしょうか。15年返済で年6~7%の利回りとなる事業との事です。電力会社は「発電当たりの投資額(発電コスト)が10年位で回収出来る額」で買い取るよう、法律で決まっているのです。但し、発電事業をしてよい場所については環境保全を考えて制限があり、何処でも発電所にして良いと言うものでなく乱開発は防いでいます。

 

②TPP対策として農家特別枠を

食糧自給率の低い日本とは事情が違って、ドイツでは食糧の増産をする必要がなく、むしろ過剰生産を制限するため、離農して発電業者になる事を援助する思惑もあるようです。差し詰め日本減反保証のかわりに電力買い取り制度が働いていると言う事でしょうか。それにしても日本では考えられない大型投資、大型融資体制ですね。いずれにしろ、日本の余剰電力の買い取り制度とはかなり違うと言えます。自然を相手にした事業として、日本の農林漁業者にもこうした余剰電力買い取りを目的とした特別枠があると良いのですが、現状ありません。では無いなら無いなりに現状制度を活用する方法を考えてみると、技術進歩が速いソーラーなら日本でも農家発電の可能性がありそうす。(参考文献 現代農業20年8月号 農文協)

 

③温室発電の投資事業が省エネ栽培施設改善で可能に

私達が開発したエコシステム養殖の場合、水槽1ケ100㎡(約30坪)で、冬を除いては電力消費量数100W以下と少なくなっています。農業用ハウスは地下水くみ上げポンプや配水管が追加されるぐらいで、双方共暖房を除いては8~10ヶ月位は余剰がかなり出て来ます。そうなると農家の温室発電は、年間を通してはかなりの利回りになるでしょう。一方住宅専用ソーラー機器メーカーの中には温室に適した機器を開発するメーカーも出てくるでしょう。発想の転換が必要なのです。

 

④既成建造物を活用する―農家発電

温室発電では、「農地を減らして新たに施設を作る」のでなく、すでに架台となる屋根状の構造をもっているハウス(温室)を活用します。この温室の屋根や壁の一部を発電に使う事は合理的な事と考えます。日本は土地が狭いのでソーラー発電パネルの設置場所が少なく、大型発電適地を海外に求めていますが、日本にも場所があったのです。

 

 

⑤制度上は事業者なら環境融資が受けられる―自治体も金を使わず金を生む

部分的にソーラーパネルを1列に並べて設置するので、発電余剰は少ないかも知れませんが、多層・多角した一般住宅の屋根より単純です。「設備面積がとり易い」「工事費が安く上がり農水共に売電期間が長く」なります。住宅用よりもトータルに余剰があり、温室数も多くあり、素人でも確実に収益が上がる危険の少ない事業になりそうなのです。しかも中小事業者にも長期の環境融資制度がありますので、

本体事業と別に、国の制度として融資を受ける為に融資申請するなら金融機関も名目が立ち安心して融資します。又電力会社の協力が得られるでしょう。

TPPの参加が議論となっている時、電力経費を削ることによって生産収益を向上させることは、農家体質強化のためにもなります。国の政策としては如何でしょう。

自治体は一般住宅に補助している訳ですが、農家には設置を呼び掛けるだけでよく、自治体として出費なしで、工事費だけでも大きな金額が地元に残る活性化策となります。

温室発電は自治体がお金を使わず、財政を潤す“特区”申請すると一気に広がると期待します。

 

 

 

かつては、一般家庭向けの標準的な3KWのシステムで200万円。最近では160万円位迄下がっています。太陽パネル1枚の大きさは約 1.3×1m。重量も15Kg位あるものでしたが近頃、軽いものが開発されてきました。

また一般的に太陽電池のコストは、太陽電池が約1/3で、電池以外のコスト、架台や蓄電池やインバーター・土木工事費・配線工事等の周辺コストが2/3になるそうです。上記パネルを30坪の屋根に12~15枚付けるハウス(温室)で、年20万位余剰発電すれば充分元が取れそうです。

 

①温室発電を補強する技術―育成光線発生塗料とLEDの開発

パネルの裏面に育成光線・マイナスイオン放射液を吹き付け加工しますので重量ゼロ。可視光線を照射するLEDも軽い。透明なパネルも開発されていますので、可視光の心配もありません。

パネルの重量も今までより1/10位の軽いものも出来ましたので、ハウス構造で充分耐久性のある架台となります。こうした新技術が開発され、温室を使って発電しても、農林水産業の邪魔にならず余分な投資をしないでも済む様になりました。

 

②断熱経費の節減―気候変動に対応する

気温が上がり、世界中で陸地が熱くなった事で、夏場は温室(ハウス)に遮光・遮熱装置を施す事が多くなりました。一般にソーラー発電パネルは断熱・防水シートが敷いてあり、熱線は吸収してしまいますので断熱効果があります。従って、発電パネルは断熱パネルでもあり、経費ゼロで断熱します。

 

③高品質化、育成促進効果を追加―農漁村発電の完成

発電と断熱に、そして育成光線がプラスされます。

ハウス(温室)栽培と露地栽培の何処が違うか。

屋根があれば雨を避け病気を予防し、壁をつけると保温になり増産出来るとされていました。太陽光を考えますと、屋根を付けると可視光線は透過しますが、遠赤外線は屋根に吸収されてしまいます。そのためハウス内では遠赤外線は届かないので、特別な加工をしなければ、路地と違って栄養価変化があるかも知れません。

この遠赤発光塗料によって、施設・露地栽培双方の改善にも繋がります。

 

④市販部品を使う事で製品原価を割安にして高効率発電

100W消費電力を必要とする太陽光発電装置を専用に作るべく大学と共同開発に取り組んだところ、200万円になってしまいました。そこで、民間に依頼し100万円と安くなりました。ゴルフ場等では100万円なら電線を引く費用より安く、景観も良いと言う話もありました。しかし家庭用市販品と金額があまり変わらなくなりますから、100Wより3KWと大容量にしてみました。

3KWと大容量になれば漁業団地の非常用電源としても、まずは装備したいものです。

 

⑤過疎地のスタンド難民―を解消する農漁村発電

地方に行くとスタンドが経営難で廃業するケースが目立ってきています。現実にガソリンを入れるため、往復5~60K走らないと行けない地域に養殖池があります。従って電力の自給が進めば自動車もEVになってくる可能性があります。そのEVも荷物を運ぶ、自転車を大きくしたオートバイとも違う地域専用の車も登場するでしょう。そうした実用的な車は、地方、農漁村でも作れるでしょうから「ソーラーとセット」となる輸送手段の獲得は地域活性に大きく寄与すると考えます。

その為には農漁村でのエネルギーを自給しようとする地域住民のバックアップがあった方がよいでしょう。

 

⑥高収益化への挑戦をしましょう。“学”の検証を!!無農薬・完全有機・健康野菜

私達はこれまで同じ遠赤や振動を発するとしている“炭”の様々な効用を経験している訳ですが、今回利用する遠赤発光塗料は炭の10倍以上と言われている電気石(トルマリン)並みの遠赤とマイナスイオンが照射されます。遠赤照射でハウス農業は、どのような違いが発揮されるのか興味があるところです。

遠赤光線を照射する事で巨大キノコができる事はよく知られています。“いちご”が重量で40%増加をしたとの報告もあります。タラソテラピーにおいては様々な病気治療をしており、癌に効く遠赤外線療法も発表されていますから、動植物にとって育成健全効果があるのは確かでしょう。

大変健康的・美味・長持ちする食糧の「増産」と「完全無農薬農産品」が「マーケットの拡大」に繋がりTPP対策になるはずです。この育成光線を追加した農漁村発電ですので、トータルな科学的検証を進めたい。

 

⑦畜産の時はどうなる。畜産の臭いの改善で更にプラス―温暖化ガスの分解

もともと鶏や豚は熱線に弱いと言われ、米国では畜舎屋根の断熱仕様が普及しています。米国では「屋根の断熱塗装や天井にアルミ断熱シートを敷くと良い」と言われていますが、日本は元々内断熱が普及していますので、外断熱はあまり理解されず使われていません。

今回断熱以外に、“発電”と“育成光線による殺菌・消臭・健康効果”がプラスされ、他の消臭剤で難しいと言われる温暖化ガスのアンモニア・タバコ臭や動物臭も消臭分解しています。ドイツの畜産農家では糞尿のバイオマスガス発電装置が多いようですが、日本では技術・制度面からして短期間には難しい。しかし

①畜舎の屋根にソーラーパネルを取り付ける事により、断熱効果を並立

②屋根裏に育成光線を吹き付けた断熱シートを敷設して、消臭や殺菌、健康効果を並立させ、温暖化ガスの除去

を提案いたします。

殊に、②の加工済みシートは安価です。天井構造によっては自分でも施設出来ます。